『ゴースト・オブ・ツシマ』クリア後感想 この自動戦闘はいつまで繁栄しつづけるのだろう

AAA・大型タイトル
AAA・大型タイトル ゲーム ゲームレビュー プレイした感想

オープンワールド×何か

海外の超大作では定番の形で、今まで様々な大作が作られている。

オープンワールド×暗殺者

オープンワールド×魔物ハンター

オープンワールド×バットマン

オープンワールド×スパイダーマン

オープンワールド×超能力者

これらのゲームはすべて高い評価を受けている。

『ゴーストオブツシマ』オープンワールド×日本の侍という今までに売れた大作と同じ形式で作られており、非常に高い評価を受けやすい形のゲームだ。

実際プレイしてみても素晴らしいゲームになっており、見たことがないような美しい日本の風景が常に楽しめ(リアルでは無いがそれが良い)、ストーリーはモンゴルへの復讐をテーマにしつつも、家族の絆も描かれる感動的な物だった。

他のオープンワールドのゲームと同じくとても面白い。

しかし戦闘に関しては、他のオープンワールドのゲームと同じくプレイするのがつらかった。なぜかというと他の”オープンワールド×何か”のゲームと全く同じシステムだからだ。

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3Dアクションの発明「自動戦闘」

いや正確には”全く同じ”ではない。それはわかってる。斬撃の激しさが主人公のモーションと敵のモーションで表現されており、爽快感と侍らしさを存分に味わえるし、忍びよって行う暗殺では、敵の配置を考え策を練り、自分が考えた策通りに暗殺が決まれば高い達成感が得られる。本当に良く出来た戦闘システムだと心から思う。

それでも「アサシンクリード」「スパイダーマン」「バットマン」「ウィッチャー」と同じ形式で作られたこの戦闘が、私にはとてもつらい。この戦闘システムがどうしても楽しめない人間も存在しているのだ。

海外の3Dアクションゲーム特有の、この戦闘システムを「自動戦闘」と呼ぶことにする。

自動戦闘には大きく2つの特徴がある。「攻撃のリーチを考えなくていい」ことと「タイミングだけ考えればいい」ことだ。

攻撃のリーチを考えなくていい

自動戦闘ではプレイヤーの攻撃が届く範囲に敵が居る状態でボタンを押すと、自動的に敵の目の前まで移動して攻撃する。このことによりリーチを考えたりプレイヤーの向きを操作したりする必要が無く、とてもプレイしやすいゲームになる。

タイミングだけ考えればいい

自動戦闘で敵の攻撃を防御する時の操作は、防御的なボタンを押すか、回避ボタンを押すかだ。タイミングよくボタンを押すことで、プレイヤーはどの方向から攻撃を受けても自動的にカッコイイモーションで回避や防御を行う。この時プレイヤーの向きは関係なく、タイミングだけ大まかにあっていれば防御が行えるので、とてもプレイやすいゲームになる。動きのリアリティとゲームシステムを上手く組み合わせた発明だと思う。

この二つの要素に、各々のゲーム特有のシステムを付け加えれば自動戦闘になる。

自動戦闘は本当に素晴らしい発明で、普段ゲームを遊ばないプレイヤーでもプレイした瞬間から、熟練のアクションゲーマーかのようにカッコよく戦えるし、キャラクターの動きのリアリティが他の3Dアクションゲームとは段違いに良くなる。なんせ決まった動きしかしないからね。プロの武芸家がモーションアクターを務めてるからそりゃめちゃくちゃカッコいいに決まっている。

しかし自動戦闘によって3Dアクションゲームから取り上げられる”楽しさ”は、あまりにも大きい。

自動戦闘によって取り上げられたもの

武器のリーチに意味が無いので、どんな武器を使おうが見た目と攻撃力などのパラメータしか違いが出ない。自動的に敵の前に移動するので考える要素が一気に減る。減り過ぎる。

防御面では対応に追われることになる。タイミング良くボタンを押し、防御が成功すればすかさず攻撃ボタン。敵が防御できない攻撃をしてきたら回避ボタン。回避が成功すればすかさず攻撃ボタン。これだけでいい。タイミングだ。位置は関係ない。なぜなら敵の攻撃がめっちゃホーミングしてくるから。「防御ボタンか回避ボタンか」この形式に絶対に落とし込まれるようデザインされた戦闘には自由はない。しかもなんだかわからないが、自動戦闘では戦闘中、プレイヤーの動きが戦闘中特有のジリジリした動作に自動で切り替わる。いやジリジリ動くのはこっちで操作したいんですけど。なおさらタイミング良くボタンを押すことに終始することになる。

要するに戦闘を自分の手でデザインすることが出来なくなるのが、自動戦闘だ。

『ゴーストオブツシマ』の主人公「境井仁」は熟練の侍であり、その技はどれも鋭く華麗で激しい動きを伴って繰り出される。そんな素晴らしいモーションも自動戦闘の前ではただの”攻撃”に過ぎない。

敵であるモンゴル兵には「盾」「剣」「槍」「剛(デカい人)」の4つのタイプがあり、仁も型を4つ持っている。モンゴル兵のタイプに対応する型を使うことで有利に戦える。このシステムはどうしても戦闘が作業的になる。

盾の敵が来た。型を変えて攻撃。

槍の敵が来た。型を変えて攻撃。

剣の敵が来た。型を変えて攻撃。

プレイヤーの動きは型によって変化するが、関係ない。自動的に敵の前まで行くんだから。素晴らしいモーションもただの演出になってしまうのがとてもつらい。

ゴーストオブツシマは神ゲーだ

自動戦闘にも大きなメリットがあることはわかっている。ゲームの難しさに挫折するという事があり得ない、それなのにキャラクターはガンガン動いて激しい攻防を繰り広げてくれる。オープンワールドという複雑で大きなゲームにおいて戦闘も遊びの一つでしかないので、戦闘を自動戦闘という形にして極限までシンプルにしてしまうことで、サブストーリーや収集要素やミニゲームに目を向けさせるという働きもあるだろう。そのゲームが自動戦闘であるという事にはしっかりと理由があるのだ。

それでも、つらかった。

『ゴーストオブツシマ』は自動戦闘の最先端にして最新作だ。正直PVの戦闘を見た段階で「あ、自動戦闘だ」と気付いてしまったが、最も新しい自動戦闘ではアクションゲームが好きな人を満足させるようなシステムで作られていることを期待して買った。

私は、ここまで隅々まで完璧に作られたゲームでも戦闘が「自動戦闘」というだけで楽しめないということ。そして自動戦闘に新しいも古いもないという事が分かった。

とはいえこんな奴はレアケースなので、基本的にはめちゃくちゃ人に勧めたいゲームである。まず日本が舞台のオープンワールドという事が珍しい。風景も本当にきれいで、馬に乗って野山や川沿いを駆けているだけで映画のように絵になるのは驚異的だ。ゲームの流れとしては問題が起こって、移動して戦闘の繰り返しなので、戦闘が楽しめる人にとっては神ゲーとしか言えないのではないだろうか。だからきつかったんだけどw

ステルス要素に関しては、別になにも新しい要素はない。普通に面白いシンプルなステルスが楽しめる。「ラストオブアス」とか「アサシンクリード」みたいな感じだと思ってくれればいい。

最初からこのゲームを褒めちぎることもできたが、私のような人が読んだとき参考になるようにしっかりと戦闘について書いておいた。

どれだけ感動的なストーリーもそのゲームの根幹を成す部分、『ゴーストオブツシマ』においては戦闘が楽しめなければとてもつらい思いをするんだ。

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