『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』レビュー ”型”を生み出す戦闘でフロムソフトウェアは再び革命を起こした 97/100

SEKIRO

人生で一番楽しかったことはダークソウル3の初見プレイだと断言できるほどにソウルシリーズが大好きな僕は、このゲームが発売されるのを本当に楽しみにしていた。

ディレクターはソウルシリーズと同じく宮崎英高なので何の心配もせずにSEKIROに期待していたのだが、発売されてみると案の定何の問題もなく、今年間違いなくGOTY(ゲームオブザイヤー)候補になるだろうクオリティのゲームだった。

しかしソウルシリーズとは全くの別物になっていた。

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レビュー

革命的な3D戦闘

SEKIROは戦国時代を舞台に忍びが活躍するアクションゲーム。

複雑なマップを探索し最終的にボスを倒せばクリアとなる。このような基本的な流れはソウルシリーズとさほど変わっていない。

SEKIROで最も大きく変化し、そして面白い部分は”戦闘”だろう。

これは断言してもいいがSEKIROは、時代劇のチャンバラをゲームに落とし込むことに成功した唯一のゲームだと言える。

そもそもの話だがゲームで”時代劇のチャンバラ”を再現する必要はない。そのゲームに適した形のアクションができれば別に時代劇のようである必要はないし、むしろ時代劇を目指すことで演出にフォーカスしすぎてゲームの面白さが損なわれる危険性すらある。

しかし”狼”の戦いはさながら映画”るろうに剣心”の佐藤健演じる緋村剣心のようだ。敵の攻撃を弾き返し大ぶりな攻撃は華麗に回避し、生まれた隙に攻撃を加える。まあ狼の場合敵を殺すのだが。

 このゲームでは敵に”体幹”というものがあり体幹を崩すことで敵を一撃で殺す”忍殺”を決めることができる。刀で斬り付けることでも体幹を削ることができるが、敵の攻撃を刀で弾くことでも体幹を削ることができ、防御が直接攻撃につながるデザインになっているためプレイヤーは自ずと弾きを狙うようになり、自然と戦闘が時代劇のチャンバラのようになる。

このようなアクションを自分の手で作り出すことができ、しかもそれが3Dアクションゲームの歴史でも群を抜いた面白さとなれば高く評価するしかない。

ボス戦は達成感の連続

SEKIROで戦闘の面白さを最も濃く味わえるのがボス戦だ。

僕はソウルシリーズのファンだがボス戦があまり好きではない。どのボスも個性的だったが攻撃が来たらローリングで回避し隙をみて攻撃する流れは変わらず、パターンや習性を覚えてしまえばそんなに苦戦もしない。どちらかというとボスを倒した時にもらえる報酬のために頑張っていた覚えがあるが、ボスが強いので倒した時に大きな達成感を感じることはできた。

しかしSEKIROのボス戦は言うなれば達成感の連続だ。

ボスを倒した時に大きな達成感を感じるのはソウルシリーズと変わらない。

重要なのは達成感は敵を倒した時だけ感じるものではなく、敵の攻撃を見切ったり弾いたりしたその一瞬一瞬にも大きな達成感があるということ。

敵の攻撃が当たる寸前で弾き、攻撃を仕掛けるが敵も弾き返してくる。何度かお互いの攻撃を弾き合っていると敵がガードできない攻撃を仕掛けてくるので”見切り”で対処し、敵が体幹を崩した瞬間忍殺を決めるというように、ボスに勝つころには一つ一つの攻撃に対して自分なりの”型”のようなものが出来上がる。

一つの攻撃に対する”型”をボスと共に上手く演じられただけで達成感がある。気づけば戦いの目的はボスを倒すことからどれだけうまく”型”を再現できるかという方向にシフトし、戦いそのものが楽しくなってくる。

最終的には「あれ、もう終わり?」と思うほどあっけなくボスを倒せるようになるだろう。同時に楽しい戦いを提供してくれたボスに対して感謝の気持ちも生まれている。こんなに楽しいボス戦を僕は知らない。

義手忍具は”ロックマンの特殊武器”

SEKIROでソウルシリーズと大きく違う点は主人公が”忍者”固定であること。

今までは魔法使いや騎士、僧侶など自分で様々なビルドを作ることでいろんなプレイができた。その分敵はどのビルドでも倒せるような調整をされていた。

しかしSEKIROでは忍者固定なので敵に明確な弱点を付けることが可能になっている。火に弱い敵、爆竹を恐れる敵や攻撃力が高い分防御力が弱い敵など様々な弱点がある。

その弱点を突くことができるのが”義手忍具”だ。主人公である狼の左腕は義手になっており、そこに様々な忍具を付けることができる。忍具を用いてボスの弱点を突くことで有利に戦いを進めることができるのはまるでロックマンのようだ。

ロックマンと大きく違う点は弱点を突いたところで勝てるわけではない、ということ。弱点を付くことができてもボスが強いことに変わりは無いので、難易度が下がりすぎる心配はなく戦闘の楽しさをさらに向上させる要素になっている。

探索で語られるストーリー

今作はビルドが”忍者”固定。しかも武器は腰に携えた「楔丸」という刀のみ。防具もない。そのため探索によって新しい武器や防具を手に入れる楽しみはない。新たな義手忍具が手に入ることがあるがそこまで種類が多いわけではないので、義手忍具を手に入れることが探索の楽しさに貢献している印象は薄い。

しかしそれでも今作の探索は今までのソウルシリーズに劣らない楽しさがある。

それはフロムソフトウェアが描く架空の戦国時代の風景の美しさを発見することや、不気味な敵や場所にたどり着きなぜこんなことになったのかと考察することもあるが、探索によって発見されるストーリーこそがSEKIROの探索において一番の報酬だと感じた。

宮崎英高が関わったソウルシリーズでは各キャラクターの”最期”が必ず描写され、なんとなくいなくなったりするキャラは一人としていない。

特に盗賊の”穴山”と頭は悪いが心は優しい”小太郎”というキャラクターの最期は悲しかったが、見られてよかった。彼らが最期まで生きようとした様子が描かれていて本当に心を打たれた。NPCのストーリーはソウルシリーズを含めて随一の面白さだ。

ソウルと比べるとキャラクター達が狂ったことにより最期を迎えることが少なく、彼らは彼らなりの意志を持って最期まで生きたことが伝わる。

素敵なNPCのストーリーだが、キチンと探索しないと見られないものが多いのでしっかりと探索したくなる。

レビューのまとめ

3D戦闘に革命を起こしたソウルシリーズを経て、フロムソフトウェアと宮崎英高はまたもや戦闘に革命を起こしてしまった。

防御すら攻撃に転じるシステムと時代劇のチャンバラのような戦闘の相性が良く、戦うこと自体が楽しい。そこに忍びと御子の主従を中心に描かれる切ないストーリーや、探索を通して語られる個性的なNPCとのストーリーが加わり、あらゆる面で隙の無いゲームになっている。

ビルドがないことやオンラインマルチプレイがないことによるリプレイ性の低さという欠点はあるものの、それを補って余りあるシングルプレイの楽しさがある。

ソウルシリーズで人気だったマルチプレイやビルドを削除する決断をした、フロムソフトウェアの姿勢には尊敬するしかない。

スコア 97/100

GOOD

  • 戦闘のすべて
  • ストーリーで報われる極上の探索要素
  • NPCの魅力
  • 2週目の楽しさ

BAD

  • ビルドがないことによるリプレイ性の低さ