『龍が如く7』は豊富なミニゲームやサブイベント、大量のタイアップなどの伝統的な要素は残しつつも、 主人公とバトルシステムの変更、そして東城会の壊滅など今までのシリーズからいろんな要素が一新されている。
中でも私が今作で一番期待していた点は、バトルのRPG化だ。
正直今までの「龍が如く」のアクションバトルには飽きていたし、PVや試遊動画を見る限り楽しそうだったので、かなり期待していた。
実際に20時間プレイしてみた感想としては「まだわからない」というのが正直な気持ちだ。
苦戦できない苦しみ
というのも、現在6章までゲームを進めているのだが、今のところ苦戦した場面がほぼ無く、RPG特有の工夫して戦う楽しさをまだ感じられていなかったのだ。そもそも『龍が如く』は普段ゲームをしない人が遊ぶゲームという側面がかなり大きいので、ある程度仕方ないとは思う。今までのシリーズでもその難易度ゆえにキャラを強化する意義があまり感じられないので、バトルをあまり楽しめなかった。
様々なジョブやスキルの組み合わせ、仲間との連携などの「コンボ」がRPGの面白さには重要だ。ドラクエなら仲間にバイキルトやスクルトでバフをする役と、回復役、そして攻撃に専念する役を考えチームを作るのが楽しいし、ペルソナなら弱点を突きやすさを考慮してパーティを決めたりする。
『龍が如く7』にもちゃんとそういう要素はある。バフ、回復、攻撃、妨害という役割分担もジョブを変えることで自分で編成することが出来るし、攻撃で敵を転ばすと仲間と連携出来たり、道路なら敵を車にぶつけて大ダメージを与えることが出来たりと、初めてRPGになったとは思えないほど様々な要素がある。
ただ、これらの要素を使う必要が無い状況が続いていたので、絶望しそうになった。またいつもの、ぬるい戦闘のご褒美にストーリーを楽しむゲームなのか、と。
しかしプレイ開始から20時間が経とうとしたときに現れた「横浜地下ダンジョン」と「ハン・ジュンギ」が私の希望になってくれた。この2つの要素が『龍が如く7』をRPGとして楽しめる可能性になってくれた。
横浜地下ダンジョンとハン・ジュンギ
『横浜地下ダンジョン』はマンホールから侵入できるダンジョンで、ゲームの本編とは関係ないがレアなアイテムや強力な敵と戦える場所。階層ごとに攻略していく構造になっており、私は第一層を攻略してみたのだが、最後に現れた敵がRPGの中ボスらしく高いHPと攻撃力、そして厄介な状態異常攻撃を持っており、かなり苦しませてくれた。こうなるとRPGらしくバフとデバフを使い状態を整え、回復する時はしっかりと回復し、チャンスに一気に攻める、といった戦略が生まれてくる。これだよこれ!
まだまだ深くまで階層はあるようなので、これから攻略していくのが楽しみだ。
そして嬉しかったのが「ハン・ジュンギ」の強さだ。「ハン・ジュンギ」は中村悠一が声優をつとめるイケメンで「龍が如く6」にも登場している。 今作では仲間になるようだ。 中村悠一もイケメンキャラも大好きなので仲間になるのが楽しみだ。しかし彼は今のところ敵として登場している。銃とナイフとボクシングを使って戦うファイターで、今までのボスと比べるとかなり強い。
まあ正直ドラクエのボスと比べると強くは無い。ちゃんと回復しながら攻撃すれば勝てるぐらいの敵で大した強さではない。しかし本編でも回復したり、バフをしないと苦戦する敵が現れたことはこれからの敵に期待ができる。やはり本編の敵が強くないと、装備を整えたり、ジョブを育成する意欲はわかないものだ。「ハン・ジュンギ」は本編でこれから先、苦戦させてくれるかもしれないという希望を見せてくれた。
春日一番は勇者になりたい!
ストーリー面では主人公が変更されているので、今までの雰囲気とはちょっと違う。主人公である「春日一番」は24歳で刑務所に入り、18年つとめて社会に出てきたので、42歳の割にはかなり子供っぽくて明るい性格で、桐生一馬とは全く違う性格になっている。子供のころにプレイしていた「ドラクエ」が大好きで、目標は親と慕うヤクザの組長「荒川真澄」のようなカッコイイヤクザになること。荒川を演じるのは中井貴一。ものすごくカッコイイ。カッコよすぎる。なんだこいつ。
春日一番は刑務所から出てきてすぐに、目標としていた荒川に銃で撃たれ、自分の人生の目標を見失う。しかし安田顕が演じるホームレスの「ナンバ」に助けられ共に行動するうちに、自分の夢を思い出す。ドラクエの主人公のような「勇者」になるという夢を。
ドラクエに必要不可欠なのは仲間の存在だろう。一人で100人ぐらいのヤクザをボコっていた桐生一馬とは違い、春日一番は仲間と共に戦い成長する、まさにドラクエの勇者のようなキャラクター。
風俗の2階の1ルームの湿った布団の上で、金も地位も無い春日とナンバが語り合い、42歳の春日一番が勇者になることを宣言するシーンにはとても感動した。泣いた。
めちゃくちゃシンプルなシーンで、おじさんが夢を語り、それを叶える話なんてありふれたものだが、春日一番には応援したくなる不安定さと爽やかさがある。それは最初からほぼ完成されていた伝説の龍「桐生一馬」とは全く違うものだ。
冒険はまだまだ続きそう
この後仲間が増え、刑事、チーママ、ホームレス、元ヤクザの4人パーティになる。
今のところストーリーは、春日たちの周りで起きる問題の解決をする流れが多く、彼ら自身の最終的な目的はまだ見えてこないが、個性的なキャラたちが起こす事件はどれも繋がっており、一本のストーリーになっていることを予感させてくれるもので、とても楽しい。
個人的には中国マフィアのボスである「趙」というキャラクターがお気に入りだ。多分今作で人気投票を取れば上位に来ることは間違いないだろう。声優の演技が狂気と威圧感があってとても良い。彼も仲間になるみたいなので、そのときを楽しみにしている。
春日一番の冒険がどうなるのか。春日一番は「勇者」になれるのか。そもそも現代において「勇者」とは何なのか。これらの答えがバシッと出る最高のストーリーに期待したい。