敵も自分も一撃で死ぬと言えば、ホットラインマイアミだ。一撃でも敵から攻撃を受けると死ぬので、自ずと自分なりの攻略法が生まれるのがとても楽しいゲームプレイ重視のゲームだったと思う。
『KatanaZERO』も発売前まではゲームプレイ重視だと思っていたが、遊んでみると全くの逆。主人公の記憶を中心に語られるストーリーと最高のドット絵が融合した良作になっていた。
レビュー
ストーリーとアートスタイルが合いすぎで最高
主人公である「ドラゴン」は記憶を失っている剣士。バスローブを着物のように着ている変人である。なぞのカウンセラーのような男から依頼を受け殺し屋稼業を行っているようだ。ドラッグ中毒者でもありその影響か、時をさかのぼる特殊能力を持っていてこれがゲームプレイとストーリー両方に深くかかわってくる。
主人公が住む第三地区は荒れておりディストピア的な雰囲気を醸し出し、潜入先の施設のネオンはサイバーパンク感もある。
このような雰囲気を引き立てているのが緻密なドット絵で、2Dプラットフォームでは最高レベルのものになっている。小さなキャラクター達によって演じられる動きは、執念を感じるほどなめらかでキレがあってカッコイイ。
徐々に解き明かされていく主人公の過去や謎の組織の暗躍などが描かれるストーリーとドット絵が絶妙にマッチし、唯一無二の体験ができる。激しいグリッチで表現されるドラッグ中毒者の見ている景色も魅力的だ。
ただし未完。
ストーリーは多くの謎を残したまま終了する。今後無料DLCが配信されるようなので、そこで補完されればいいが、今のところ中途半端なところで終わってしまう感は否めない。
ゲームプレイはやや単調
敵も自分も一撃で死ぬのでステージ攻略は自ずとパズルゲームのようになるのはホットラインマイアミと似ているが、katanazeroの場合どのステージも攻略法がほぼ同じなので、自分のミスをなくしていけばクリアできる。そういう意味では単調。
ゲームプレイよりもストーリー重視だったのは面白いと思うが、ストーリーの面白さにゲームプレイが付いてきていないように感じた。そこまで考えなくてもクリアできてしまうため、乗り越えた達成感はあまり感じない。
一撃で死ぬので難易度は低いとは言わないが、ハードコアで達成感のあるアクションを期待している人にとっては肩透かしになってしまうかもしれない。
もちろん敵を斬りつけた時の音や振動、敵のリアクションなどすべて洗練されているので、あと少しでもゲームプレイにバリエーションやリプレイ性があれば歴史に残る傑作になっていただろう。
ただ今後のDLCでゲームプレイの面でも補完される可能性があるので、期待して待ちたい。
レビューのまとめ
ドット絵で描かれるストーリーは続きが気になる非常に魅力があるものになっているが、ゲームプレイにはストーリーほどの魅力を感じることができなかった。またストーリーが未完であるという点も残念な部分となっている。
しかしそれでもドット絵で作られたゲームの中で唯一無二の魅力があるのは事実であり、1500円という値段は安いと言っていい。
また今後のDLCでストーリー、ゲームプレイ両方に改良が加えられれば大傑作になる可能性は非常に高い。
今後のKatanaZEROから目が離せない。
スコア 80/100
GOOD
- 2Dプラットフォームでは最上級のドット絵
- 謎だらけで魅力的なストーリー
- ディストピアな世界観
BAD
- 考えることが少なく単調なゲームプレイ
- 全体的に未完